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SOULHEADのデビュー曲「STEP TO THE NEW WORLD」を聞いたときの衝撃は今でも忘れられない。伸びやかなヴォーカル、華やかなコーラス、コシのあるグルーヴ。それらをミラクルなバランスで融合させた彼女たちのサウンド・デザインは、それまでの日本産R&Bと明らかに一線を画していた。21世紀の始まりを告げるゼロ年代に現れた音楽の異能、SOULHEAD。以来、ふたりが培養してきたセンスは、このベスト・アルバム『BEST OF SOULHEAD』に見事に結晶している。
「スタイルはオンリーワン、価値はナンバーワン」。このベスト盤を聞いていると、彼女たちのそんな魅力に気づく。彼女たちは俗に言う「アルバム型アーティスト」で、これまでに発表した3枚のアルバムはどれもカラフルでありながら、そこに通好みでカッティングエッジな音を忍ばせていた。しかし、こうしてシングル盤収録曲を並べてみると、SOULHEADは普遍性とキャッチーさを備えた素晴らしいポップスの作り手であることに気づく。彼女たちのソングライティング能力の高さに改めて驚愕するのだ。 姉・YOSHIKAは切なさと開放感が絶妙に同居したフレーズを紡ぎ、妹・TSUGUMIは黒人音楽特有のしなやかなフロウを刻む。情感豊かなメロディライン、パンチのあるフック、日本語と英語をシームレスに繋ぐリリック。清澄感のある歌声も含め、どれもが耳にスッと入ってくる。デビュー以来、二人三脚で曲作りをしてきたOCTOPUSSYによるディスコティックなビートも、ダンスフロアとリビングルームの境界線を自由に往来する。現代の歌謡曲と呼べる大衆性。スタイリッシュでありながらクセになる独自性。このふたつを兼ね備えるSOULHEADには、J-POP界にハズせない存在価値がある。 彼女たちの曲には常に聴き手を心地よくさせるグルーヴがある。これも特徴だ。きらびやかでキュートなアップ・ナンバーから、派手にバウンスするパーティ・チューン、しっとりと聞かせるミッド〜スロウ・バラードまで、本作にはSOULHEADの豊かな才能が濃縮還元されているが、ここに一本筋を通しているのは強固なグルーヴ力。終盤には「キミノキセキ」「いつまでも…」「Dear Friends」と、3連続でバラードが収められているが、そこにもSOULHEADの代名詞といえるグルーヴはしっかりと渦巻いている。しかも、本作はそのグルーヴ力を最大限に発揮した「STEP TO THE NEW WORLD」で始まり、強烈無比なノリを携えた「FEEL LIKE JUMPING」でフィニッシュ。自分たちのセールスポイントで貫かれたこの作品には、「ベスト盤という名前のオリジナル・アルバム」といえる整合感と佇まいがある。 素顔のふたりはとてもパッショナブルで、パンクな精神の持ち主で、邪気がない。これまでは、パッションのうねりをグルーヴのうねりに転化させ、無邪気さをアンチイズムに昇華し、本能の赴くままに直情型の歌を作ってきた。デビュー前に70曲以上、アルバムを作るたびに100曲近いデモを作り、現在もなお、新たなデモ作りに励んでいるというSOULHEAD。5月からはこのベスト・アルバムをひっさげた全国ツアーに出発するそうだが、今後、彼女たちはどんな楽曲を産み落としてくれるのか。SOULHEADが4年半前に開けた新しき扉の先には、まだまだ長い道が続いている。 猪又 孝(DO THE MONKEY)
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